読む日々

本を読んで静かに暮らしてます。

読んだ本

「ミシンのみる夢」ビアンカ・ピッツォルノ

去年読んで面白かった本です。19世紀の1人のイタリア人女性の物語。お針子という階級社会の下層にいて、天涯孤独、頼れる人も蓄えもない。万が一病気で働けなくなったら途端に生活がままならなくなり最下層に落ちてもおかしくない(いったん落ちると戻れないとわかっている)そういった場で自身の尊厳を保ち、少しずつ守りを固め、時に無言の怒りを散りばめ、耐え、淡々と生きていく姿は今の時代の人にも重なります。しかし辛さばかりでなく彼女の努力が認められたり、人に恵まれ明るい部分も多く読みやすいです。

 

先日、「夏物語」を開いて早々に読むのをやめてしまいました。文章はきれいで、想像をかき立てるような表現、するする読めていきます。だからこそその内容が重苦しく目で追うのをやめてしまうのです。書かれてはいないけれど、みえてしまう。不可抗力の不幸。ありそうな現実性。

「ミシンの夢」のように国や時代が少しずれてれば読めたかもしれないです。

いまの自分にそれらを受け入れる余地がない。それだけすごい本なんだと思います。本には読むタイミングがありますねぇ( ´_ゝ`)(あとラノベみすぎなのかもしれません。)